無断で「遠隔操作アプリ」をインストールして逮捕「不正指令電磁的記録の供用罪」

不正指令電磁的記録の供用罪

不正指令電磁的記録に関する罪

他人のスマートホンに無断でアプリをインスト―ルすることが社会的問題になっています。今はアプリをインストールすることで、相手にバレることなくその端末の情報を取得することもできます。また脱獄iPhoneやルート化androidでは、相手に100%気づかれることなくリアルタイムで映像や音声を取得することもできます。こうなるとプライバシーなど存在しません。

また、子どもの安全のためなら良いのでしょうか。では他の家族ではどうでしょうか。しかし、他人とは自分以外の人のことです。それには家族だって含まれるケースがあるのです。

事例をもとに、新しく制定されたこの「不正指令電磁的記録に関する罪(通称:コンピュータ・ウイルスに関する罪)」についてみて行きましょう。

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同罪の供用罪による逮捕事例1

インターネットで知り合った女子高校生のスマートフォンに「遠隔操作アプリ」をインストールしたとして、岡山県に住む男性が不正指令電磁的記録供用容疑で逮捕されました。 (2015年3月28日 シェアしたくなる法律相談所)

遠隔操作アプリを使用して、男性の自宅にあるパソコンから女子高生のスマホを動かし、撮影や録音などができる状態になっていたという事のようです。

同罪の供用罪による逮捕事例2

奈良県警は、妻のスマートフォンに遠隔操作アプリを無断でインストールし、遠隔操作ができる状態にしたとして、同県桜井市の会社員の男(35)を不正指令電磁的記録供用容疑で逮捕しました。(2015年4月9日 産経新聞)

報道によると、男性は昨年7月、妻のスマホの中に、遠隔操作でメールを閲覧したり、居場所を特定できるアプリを無断でインストールした疑いがもたれています。妻が今年3月、スマホに見覚えがないアプリが入っているのに気づき、県警に相談して発覚したとのことです。

夫と知っていれば逮捕は免れたかもしれませんが、先に警察に行ってしまったようです。

この「不正指令電磁的記録供用罪」は、なんだか難しい名前に見えるが、いったいどんな犯罪なのか? また、遠隔操作したのが女子高生のように「他人と言える存在」のスマホであれば、逮捕されても仕方ないのかもしれませんが、なぜ家族である「妻」に対する行為でも犯罪になってしまうのでしょうか? 

同罪及びストーカー規制法違反による逮捕事例3

愛知県警は、愛知県内に住むバイト仲間で知り合いの20歳代女子大学生のスマートフォンに、遠隔操作で撮影ができるアプリを勝手にインストールして、私生活をのぞき見したとして、42歳の男をストーカー規制法違反などの疑いで逮捕しました。(2017年6月8日 NHK)

先月、5日間にわたって私生活をのぞき見したとして、ストーカー規制法違反などの疑いが持たれています。
 
このアプリは「TrackView」と呼ばれ、外出先からペットの様子を確認するときなどに使われるもので、物音に反応して自動的に撮影を始め、その様子を別のスマートホンなどで見ることができます。
 
容疑者は女性の部屋に合鍵を使って忍び込み、スマートフォンを盗んだとして、すでに逮捕、起訴されていています。警察によりますと、調べに対して、今回の容疑を認め、「奥手で声をかけられなかった。女子大学生の生活を見てみたかった」と供述しているということです。

「不正指令電磁的記録に関する罪」って何?

不正指令電磁的記録に関する罪(刑法168条の2第2項)とは、通称コンピュータ・ウイルスに関する罪と言われ、コンピュータに不正な指令を与える電磁的記録の作成する行為等を内容とする犯罪です。

この類型の犯罪は、もともと刑法になかったものですが、2001年に欧州評議会で採択されたサイバー犯罪条約に加盟するために、国内法を整備したものであり、2011年の刑法改正で新設された犯罪類型です。

簡単に言えば、コンピューターウィルスを作成したり所持したり、他人から不正に情報を取得したりする行為を禁止するというものです。。

どういう場合に成立する?

上記の通り、同罪には、「作成罪(ウィルスを作ってはダメ)」と「取得罪(持ってはダメ)」と「供用罪(使ってはダメ)」とがあります。

前者のウィルス作ってはダメという事はよくわかると思われますが、情報の不正取得の目的に使えば、たとえスマホアプリであっても、不正指令電磁的記録の供用罪が適用されるという事です。

供用罪は未遂であっても処罰の対象となります

不正指令電磁的記録に関する罪は、他人のパソコンやスマホに対し、実際に不正使用する目的で、その人がパソコンを使用する際に意図した操作ができなくなったり、意図しない動作を勝手にさせることが可能となるコンピューターウイルスを「作成・取得・使用」した場合に成立します。

不正指令電磁的記録に関する罪ってどのくらいの罪なの?

  • 作成罪は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される(刑法168条の2第1項)。
  • 供用罪は、電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した場合も作成罪と同様とされる(刑法168条の2第2項)。
  • 取得罪は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される(刑法168条の3第)。

類似の犯罪もある

不正指令電磁的記録に関する罪は、コンピューターウイルス作成使用の禁止を主としたものですが、コンピューターを使用した類似の犯罪として、他人のIDパスワードを不正使用してログインすること等を禁じる不正アクセス防止法や、パソコンに不正な指令を与える方法で行われる詐欺行為を禁止する電子計算機使用詐欺罪などがあります。

今回の逮捕事例のように、別の端末から遠隔操作や位置情報を取得できる機能がある『アプリ』でも、使い方によってはウイルスと同様に、本人の意図に反した動作をさせることができます。

そのため、どんなたでも、本人に無断で遠隔操作したり位置情報を取得する目的でスマホアプリをインストールする場合には、不正指令電磁的記録の供用罪が適用される恐れがありますので気を付けましょう。

また、自分以外の「他人の電子計算機(パソコンやスマートフォンなど)」に対して行うと成立する犯罪ですので、たとえ自分の妻であっても、相手の承諾がない以上は、犯罪として成立することになります。

浮気の疑いを持ったら相談しましょう

浮気をしている方が悪いのは間違いありません。しかし、浮気は刑法には抵触しません

他方、容易に浮気調べができるからといって、無断で「遠隔操作アプリ」や「位置情報取得アプリ」をインストールすると紹介いたしました「不正指令電磁的記録に関する罪」に抵触する恐れがあります。

浮気の疑いを持ったら、ぜひ浮気問題の解決の専門家に相談してみてください。

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※インストールする際は、本人の承諾を得るようにしましょう。

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