本気で浮気の濡れ衣を着せられたら
男女関係など意識せずに付き合っていた同僚や友人について、突然、パートナーから浮気の濡れ衣を着せられる事があります。
確かに、頻繁に連絡を取ったりはしていたけど、浮気とは違います。はっきり言って妄想の域としか思えません。
しかし、ひょんなことから浮気を疑われてしまって「違う」と言っても信じてくれない相手の不自然な振る舞いに、どのようにしたらいいのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
愛しているパートナーに疑われてしまうのはとても心苦しいものです。浮気という二人の関係性に迫る問題ならなおさらです。
また、「浮気の濡れ衣」という問題は、パートナーからだけではなく、異性の同僚や友人の配偶者から、その疑いを着せられる場合もあります。
同僚や友人の配偶者には普段あまり接することもないでしょうから、電話がかかってきたり郵便物が届いたりするまでに思いつめた行動には、恐らく「違う」と言う言葉など全く響かないでしょう。
そのように、してもいない浮気の疑いを掛けられたら、思わず呆気に取られてしまいます。
しかし、適切に対処しないと会社をクビになったり、将来にしこりが残ってしまう恐れもあるので気をつけましょう。
冷静に対応することが最大のポイントです。
今回の記事では、そのような危機的状況に陥ったときの対処を紹介します。
加えて、浮気の濡れ衣を着せられた原因に考えられる事例を紹介します。
浮気を疑う理由や証拠があるのか訊く
浮気を疑われたら、当然、まずは「Why:なぜ?」という思いとともに、「憤りや否定」の思いが先立ってしまいます。
それに、たとえ浮気の心当たりがあったとしても、のっけっから「はい、してます」と答える方はいないでしょう。
「なんで浮気だと思ったの?」「証拠はあるの?」
当然といえば当然の対処ではありますが、どうして浮気をしたと考えているかを訊くのは当たり前です。
どこからが浮気?
しかし、浮気を疑う理由や証拠を訊く前に確認しておきたいのは、「どこからが浮気になるのか」ということです。
つまり浮気のラインを確認して、「What:何が?」浮気に当たるのかを了解しておきます。
自分とパートナーに、この認識の差異がある事を理解せず、それを確認しないまま理由や証拠を聞いたところで、話は平行線を辿るばかりとなり、解決に繋がる話し合いは期待できません。あるいは苛々を募らせただけで、結局、この「What:何が?」に戻ってくることになるでしょう。
話し合いの始めに、まず、その前提となる浮気のボーダーラインについて、双方の認識を確認しておきましょう。
浮気を否定する証拠
やっていないことの証拠ってなんですか?
その言葉の使われ方のひとつに「消極的事実の証明(無いことの証明)はできない。」というものがあります。
つまり、ロジック的に「浮気をしていないことの証明はできない」という事です。
これはたとえば、証拠はないけれど、コンビニに買い物へ行っている間に浮気をするかもしれません。また、今後浮気が見つかるかもしれません。浮気をしていない証明とは、これらのことが絶対に無いという物的証拠が必要になります。
それは余りにも無茶な話です。
よって、24時間365日片時も離れずに一緒に過ごすでもない限り、浮気をしていないことの証明は難しいという事を意味します。
ちなみに、交通事故を除くほとんどの法律においても、やったことの証明をする責任は、それを訴えた側(被害者)にあります。
浮気をしていない証拠とは
こうしたことを前提に、浮気のマージナルについてを合意したら話し合いを進めていきます。
そして、こちらからは必要に応じて浮気をしていないという証拠を出しましょう。
「あれ!?」と思われたかもしれません。ここで言う証拠とは「浮気をしていないという誠意」や「浮気の疑いを晴らすような愛情表現」を言います。
蓋然性という言葉がありますが、浮気をしていないという小さな事実やその思いを誠意をもって積み上げていくのです。
本当に浮気はしていないのですから、たとえば、実際に同僚や友人とのSNSやメールのやり取りを見せて、なんらやましい事が無いことを言葉で説明していきます。
やっていない疑いを持たれて憤る気持ちはわかりますが、絶対に感情的になってはいけません。逆の立場で考えてみてください。相手は浮気をしたと思っているのです。
やっていないからこそ冷静でいられるはずです。
浮気のボーダーラインに触れる場合
しかし、そうした証拠を出しても、パートナーの浮気のボーダーラインに引っかかるという場合もあるでしょう。この場合、二つの対処方法があります。
- 仕事上の付き合いで必要だからという理由や、古くからの気の置けない知己だからという理由で連絡を絶つことが難しい場合は、できれば折を見て、パートナーに紹介しましょう。
紹介することでパートナーも顔見知りとなり、連絡を取りうる環境を築いておけば、よりお互いの理解が深まることでしょう。 - 逆の立場で考えた時などを考慮したうえで、パートナーの主張を認め、異性との連絡の取り方や付き合い方自体を改めます。
たとえ、同僚や知己であっても、過去に恋愛関係に近づいたことを知られている場合に、徒に(1.)の方法を取ってしまうと、お互いの溝が深まることに繋がりやすいです。
たとえ仕事上の必要があっても、連絡の取り方についてパートナーに配慮した方法に変えることもできるはずです。それは浮気を認めるということではなく、パートナーを尊重するということです。
そのような場合には、パートナーはどうしたいのか、何をして欲しくないのかということを聞いて改善に努めましょう。パートナーの意見を尊重するという姿勢が大事です。
浮気と慰謝料
パートナーの浮気のボーダーラインに引っかかったとしても、それが法律的に認められて、慰謝料の請求ができるかというと、それはまた別問題です。
一般に浮気で離婚して、慰謝料を請求したりする場合、不貞行為の証拠が必要です。
不貞行為というのは結婚している人間が結婚相手以外の異性と肉体関係を持つことをいうのですが、そもそも浮気をしていないという自覚があるのですから、「不貞行為の事実があるから慰謝料を請求する」などと言われても怯える必要はないのです。
友人や会社の人を味方につけておく
疑いをもたれた場合、言い方は悪いかもしれませんが、根回し大事です。なるべく早く周りの人に事情を話しておきましょう。
もしパートナーが、さまざまな人に「浮気されている」などと吹聴したとすれば、周りの人間が敵になってしまいます。
証言者を確保しておいてください。
本当に浮気をしているわけではないため、捏造でもされない限り、どう転んでも決定打となるような証拠はでてきません。
しかしながら、事実でなくとも、勤め先の上司などに、浮気をしているなどという噂が知れてしまったら、評価が落ちてしまい兼ねません。
さらに、取引先にまでそのような話が回ってしまえば、自分だけでなく周りの人も被害を被り、大変なことになってしまいます。初期鎮火が重要なのです。
後述しますが、場合によっては弁護士を介入させる方法も考えておいてください。
弁護士に相談しておく
騒動の初期鎮火に失敗し、嘘の事実が広まってしまった場合、弁護士に相談することをおすすめします。
近年ではSNSが広く普及しており、簡単にこのような噂は広がってしまいます。弁護士に相談することで、誹謗中傷をやめさせることができ、問題の解決につながるので一石二鳥だといえます。
確実な証拠がないのに、勝手に、浮気をしているなどという事実を周りの人に吹聴され、結果として自尊心が傷ついた場合、刑事と民事上にて名誉毀損罪が適用されます。
同僚や友人の配偶者から浮気を疑われた場合
浮気の濡れ衣を、今度は他人から着せられた場合を考えてみましょう。
浮気の事実が無いにも関わらず、「頻繁に連絡を取っているから」や「なんかお気に入りみたいでむかつく」などと言った理由で、その配偶者から浮気の濡れ衣を着せられる場合があります。
相手の家庭事情までを理解する必要はありませんが、家庭が不和であれば、その傾向はより強まるでしょう。
これは相手の家庭事情の問題なので、基本的に干渉しない方が無難でしょう。必要以上に接触してしまうと刺激を与えることになり、過激な行為を引き起こし兼ねません。
内容証明
同僚や友人の配偶者から「訴えます」という内容証明が届いた場合。
内容証明とは、信書(文書)の内容を郵便局が確認し、それを相手に届けた事を証明するものであり、発信者の意思が伝えられた事を証明するそれ以上の意味はありません。
このため、そこに書かれた内容が事実である必要はないのです。例えばラブレターだって内容証明で送付することもできます。
従って、内容証明郵便は気にする必要は全くありません。むしろ、もし今後問題が生じた際には、こちら側に有利な証拠となる場合もあるので、解決するまでは保管しておきましょう。
訴状
裁判所からの「あなたは訴えられました」という通知が来た場合。
基本的に裁判は誰でも提起することができます。事実を争う場であるため、たとえやっていない浮気についても裁判を起こすことができるのです。
そして、訴状の形式が間違っていなければ、訴えは受理されます。
その後に「口頭弁論期日呼出状」というものが送付されてきたら、正当な理由がない限り、その日は裁判所に出頭しなければなりません。
もし出頭しなければ、相手の主張がそのまま採用され敗訴することになるため「関係無い」などとは言わず、必ず対処を取る必要があります。
しかし、裁判の日時は平日の昼間である場合が多いため、出廷することが難しい場合もあるでしょう。この場合は、弁護士に依頼することにより「証人尋問」を除き、代理で弁護士のみが出廷する形で審理を進めていくことができます。
また、一般的に、勝訴した場合でも弁護士費用が戻ってくることは少なく、金銭面で言えば、その後「名誉棄損」などの不法行為に基づいた請求をしていく事もできます。
浮気の濡れ衣を着せられてしまう原因
濡れ衣を着せられてしまうのには、必ず何らかのきっかけや原因があります。
自分にとっては「これくらいは浮気ではない」と言っても、パートナーからすれば「それは浮気に見える」という認識の差が元となって、トラブルになってしまうことが多いのです。
そのような原因で疑われたのなら、交友関係を明確にし、異性の友達の存在などは隠さずに伝えることで誤解を減らすことができます。
また、そのような誤解が起きてしまうのは、コミュニケーションが不足しているからでもあり、パートナーとの生活を根本的に見直す必要があると言えそうです。
繰り返しますが、浮気に限らずとも、価値観や認識には差異があるということを理解しておくことが大事です。
「浮気の濡れ衣を着せられてしまったら」まとめ
浮気の濡れ衣を着せられてしまったときにすることは、①浮気をしていると言える根拠を把握することと、②浮気の噂が広まったりしないように周囲に事の経緯を説明することの二つです。
うまく解決できたら、またこのような事態が起きないように対策を練る必要があります。
濡れ衣を着せられるのは、そもそも浮気の基準がパートナーと違っていたり、コミュニケーションが不足しているために誤解を与えやすかったりする、という原因がありますので、生活を改善する必要があります。
覚えのない浮気を指摘されたら相談してください
同僚や友人の配偶者から浮気の濡れ衣を着せられた場合は、特に注意が必要です。
恐らくあなたに非が無ければ、その同僚や友人は当然自分の配偶者の言う事などに耳を貸さず、できる限り内輪で問題を解決することを望むでしょう。
しかし、中にはあなたから愛する人を引き離すために、あり得ない嘘をつき、その友人を誤信させるケースもあります。
証拠を捏造し、あなたから「嫌がらせを受けている」など、その嘘を膨れ上がらせていく場合があります。
問題が大きくなる前に一度相談してみてください。ストーカーと同様、こうした問題は初期消火が重要です。